今回のメンターインタビューは、もともと人に教えることが好きでコーチングを学ばれていたという伊藤浩一さんにお話を伺いました。相手にただ技術を教えるのではなく、学んだことを自分のものとして活かし続ける人を育てるために伊藤さんが工夫している指導方法を語っていただきました。

プロフィール:伊藤 浩一
1977年生まれ。東京都在住。システム開発会社に10年勤務後、昨年退職してフリーランスエンジニアに。受託開発を続けながら、現在はTechAcademyでメンターとして活躍中。

「やっていて楽しい!」から自然とエンジニアの道へ

――現在のお仕事について教えてください。

新卒としてIT系の会社に就職して10年ほどシステム開発をしていました。昨年退職してフリーランスになってから1年が経ちます。会社に残っていても楽しく開発ができていたのですが、自分のスキルを広げるために独立の道を選びました。今はいくつかの会社からの受注案件で開発を行っています。

――もともとプログラミングのスキルはどうやって習得したのでしょうか?

中学生の頃にたまたまパソコンの好きな先生がいて、プログラミングの授業がありました。授業でコードを書いて動かした経験が、いま考えるとプログラミングとの出会いです。その後、大学に入った頃にプログラミングを始めました。大学では物理を専攻していたので、データ解析などのコードを書いたこともあります。ちょうどWindows95が出始めたころで、コンビニや塾講師のアルバイトをして貯めたお金でパソコンを買いました。

――どうして新卒でシステム開発の仕事をしようと思ったのでしょうか?

プログラミングは趣味の延長だったので、「やっていて楽しい」を続けていたら仕事になっていました。仕事では、社内プロジェクトでプログラミングを部下に教えていたこともあり、今のメンター業務と通じるものがありますね。大学生の時に塾講師のアルバイトをしていたのも、ものを教えるのが好きだったからです。

――その後独立されるわけですが、何かきっかけはあったのでしょうか?

きっかけの1つにゆくゆくは事業を立ち上げたいということがあります。あとは、自分でやりたいことがあるけれど、よくわからなくて、もやもやしている人のサポートを何らかの形でしていきたいと思っていました。ですので、コーチングを徹底的に学んでいたこともあります。

――コーチングとはどんなものなのでしょうか?

「教える」行為はティーチングですが、コーチングの場合は相手が自分の中にすでに持っているやりたいことを引き出してあげる作業になります。私は相手のモチベーションを掘り起こしてあげて、自発的に学んでもらうようにサポートするのが大事だと思っています。目標設定を一緒に考えて、相手が望むレベルに引き上げたり、相手のやる気をアップさせたりするような指導が大事です。

original.png
チャット対応の様子

理想はコーチングをして自発的に学んでもらうこと

――メンター業務はどうやって見つけたのでしょうか?

募集をたまたまネット上で見つけました。以前からオンラインの英会話を学んでいたので、リモート業務に抵抗はありませんでした。システム開発もそうですが、パソコン1台でどこからでも作業ができるのはすごく便利ですね。プログラミング、コーチング、そして事業としてやっていきたいことが全てメンターの業務にリンクしていい経験だと思いました。

――メンター業務は他の仕事とどうやって調整しているのでしょうか?

今は重要な開発案件があり、それをメインにやらせていただいています。メンター業務は週に何日かだけ夕方以降に担当しています。

――メンター業務はどのようにしていますか?

他のメンターと同じですが、チャットサポート、コードレビュー、メンタリングの主に3つの業務があります。チャットはその場で返せる瞬発力が必要ですが、私はどちらかというとじっくり教える方が向いているので、相手と向き合えるコードレビューやメンタリングが向いていると思います。チャットサポートではメンター同士でダイレクトメールを送りあって連携を取りながら対応しています。チャットが得意な人はチャットを担当してもらって、私はコードレビューが得意なので主にコードレビューを見たりと柔軟に対応しています。

――マンツーマンのメンタリングについてはいかがでしょうか?

メンタリングはティーチングではなくコーチングの面が強いと思います。理想はコーチングをして自発的に学んでいただくことですが、まったくの初心者の受講生は何もわからない状態から自分でモチベーションを上げるのは難しいと思うので、ある程度まではティーチングを行っています。

original-1.jpg

――オリジナルサービスの開発にあたってどのように指導していますか?

オリジナルサービスについてはレベルに関わらず、その人が作りたいと思うものを作っていただきます。8週間の期間内で完璧を求めようとすると難しくなってしまうので、受講後も自分で学べるモチベーションが保てるように工夫しています。目指すのはプログラミングで自立する、また作りたいものを作れるようになるというところですね。

――伊藤さんが担当されている受講生は進みが早いようですが、コーチングのおかげでしょうか。

私にコーチングのスキルがあるから違うのかはわかりませんが、自分から学ぼうとする姿勢の受講生が多いので、そのおかげかもしれませんね。

――受講生のモチベーションを上げていくためにどういった点に気をつけていますか?

目標をはっきりさせることです。最終課題はオリジナルサービスの開発ですが、何が作りたいか漠然としている人には好きなこととか自分の趣味、今後やってみたいことをお聞きします。そうするとみなさん目をキラキラさせて話し始めるんですね。そのことについて話を広げていくと「こういったものを作りたいんです」という意見が自然と湧いてきます。「そのサービスができたらどんな気持ちがしますか?」と聞くとみなさんワクワクして語り始めるんですね。

――最後に今後の意気込みについて教えてください。

メンター業務は、プログラミングを通してもやもやしていたアイディアが形になったことが楽しくて、開発されている皆さんの姿を見るのが楽しいです。DemoDayがゴールではないと思っているので、受講後のその先についてを常に考えています。メンター業務は私がやりたいことと一致しているので、受講後も自分で力をつけていただけるように今後もサポートしていきます。

(インタビュアー:横内優子)