宇田 好宏さんにお話を伺いました。美容師からエンジニアへ転職された後、現在はFogg株式会社にてCTOとして活躍されています。

プロフィール:宇田好宏
1984年生まれ。東京都三鷹市在住。美容師からエンジニアへ転職され、多くの会社を経験された後、現在はFogg株式会社にてCTOとして活躍中。転職のきっかけや、エンジニアとして活躍されるまでのエピソードをお聞きしました。

美容師からエンジニアへ

――簡単に自己紹介をお願いできますか?  

宇田好宏と申します。
今はFogg株式会社でCTOとして、開発の責任者をしています。
役員として経営は勿論のこと、プログラミングなどの技術的な面にも関わらせていただいています。

――最初からエンジニアになることを目指されていたんですか?

最初は美容師として働いていました。
高校を出て美容の専門学校に通い、国家資格を取った後美容師として1年半ぐらい働いていたんです。

――美容師から転職をしようと思ったきっかけはなんでしたか?

ある朝テレビを見ていたとき貧困層特集がやっていまして、その当時番組内では「年収300万以下が貧困層です」って言っていたんですね。
その当時の自分の年収が200万以下だったので将来が不安になり、その場で転職を決意していました。

――転職先にエンジニアを選んだ理由はなんでしたか?

当時自分の中でスーツは着たくないという頑なな思いがありまして、それができる業界を探した時にIT業界を見つけたんです。
ちょうど10年前当時は未経験であっても誰でも採用をしてくれる環境だったので、WordもExcelも触ったことない状態で飛び込みました。

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全てが大変だった研修期間

――初めてプログラミングに触れたのはいつでしたか?

1社目入ったときに、1ヶ月間の研修があってそこで初めて触れましたね。
プログラミングというよりは開発環境を整えるところから始めて、そこから毎日平日、朝から晩までの研修を3週間ほど行っていました。

――はじめてプログラミングに触れるにあたって、大変だったことなどはありましたか?

プログラミングの知識が全くなかったので、全てが大変でしたね。
スピード感が早く全然ついていけなくって、同期の中で大学でプログラミングをやっていた人を頼りに教えてもらってなんとかこなしていました。
実際、約1ヶ月研修しましたけど、研修後も全く何も分からず状態でしたね。

――プログラミングに慣れてきたなと感じるまでにどれくらいかかりましたか?

実務でいうと2年ぐらいですかね。
実は、もともと入った会社が出向という形でエンジニアを派遣する会社で、最初はプログラミングを書かずに資料を作ったりしていたんです。半年くらい経った後に、一緒に働いてくれていた方が気に入ってくれて、プログラミングのコードも書かせてもらえるようになりました。そこで初めて仕事としてやり始めたんですが、ちょっと危機感を感じまして、自分で「初めてのPHP」のような本を頑張って読み始めました。

わからないことを聞きながら、自身で勉強するような形で勉強していまして、当時あんまり勉強することは得意じゃなかったんですけど、エンジニアになってから一番勉強していた時でした。

――独学では、具体的にどのように勉強していたんですか?

今みたいな学習系のサービスとかもなかったので、基本は本を買って勉強していました。
本を買って一から勉強しつつ、実務をこなしながら、分からないところを周囲の人に質問したりして学んでいきました。
本当に運良く色んないい人に巡り合って、色々教えてもらいながらできたので、大きな挫折などはなかったです。

ゼロからサービス立ち上げへ

――エンジニアとして、どのようにスキルアップされていったんでしょうか?

先ほどもあったように、エンジニアの派遣という形で色んな会社を経験させてもらってました。6、7社は行ったかと思います。
そこで色々な人と色々なやり取りをする中でスキルを積んでいきましたね。

――印象に残っている仕事や会社はありますか?

やっぱり、一番印象に残っているのは前職の株式会社ファンコミュニケーションズですかね。
nendというスマートフォン向けアドネットワークを、もう一人のエンジニアの方とゼロに近い状態から作り上げていきました。

――エンジニアとしてのモチベーションは何でしたか?

エンジニアとして働き始めて、1年目、2年目と重ねるごとに自分ができるようになっていく実感があったのと、やっぱり分からないことが分かるようになっていったり、自分の思い描いたようにコードが書けた時に「楽しい」と感じたんです。

他にも、依頼があった時にどうやって作ったらいいのかとか、こういう風に書けば綺麗に書けるとか、そういうのを考えるのもとても楽しかったので、それらがモチベーションに繋がっていたのではないかなと思います。

――エンジニアとして働く中で辛かったり苦しい思いをした瞬間はありましたか?

物理的に一番大変だったのは初めて行ったところでしたかね。

朝から晩まで働いて、会社に泊まる人もいるような環境ではありました。でも、美容師として立ちっぱで仕事をしていた僕からしたらすごく楽だったんです。
本当に家に帰ってきて寝てすぐ出社する生活ではあったんですけど、残業代も出ていましたし…状況的には月給以上に残業代が入るみたいな状況だったりしましたけどね。笑

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チャレンジは若いうちに

――現職のFogg株式会社に移られたのはいつ頃でしたか?

2年前の6、7月ぐらいです。

――転職のきっかけはなんでしたか?

いつも新しいことをやろうとしている環境がすごく楽しそうだと感じたんですよね。
nendに携わっていた時もサービスが大きくなっていく楽しみがあったんですが、最後の方は大きくなってしまって組織化していきました。
勿論、その環境ならではの楽しみもあったんですけど、チャレンジできるのは若いうちしかないよなと思いまして、転職を決意しました。

実際転職して、技術者としても新しいことに挑戦できたので、やっぱり転職してよかったかなと思っています。

――Fogg株式会社では、どのようなアプリを開発されたんですか?

ひとつめは、「iam」っていう、電話帳のアプリですね。
今はSNSで繋がったりしているので連絡先とか交換する必要とかなくなってきていますけど、でも実は結構必要なんじゃないかなと思って、ひとつのIDで全ての連絡先、SNSを管理できるものを作ろうとなったんです。でも時代が早すぎたと言いますか、マネタイズまで時間がかかるということで、他のアプリを考え始めました。

それが、ふたつめの「CHEERZ」ですね。一言で言えばアイドルやJUNONや俳優を応援するためのアプリですね。
僕はそのアプリのサーバー構築のところを一人で担当していました。

「楽をする」ための方法を探る

――開発をする上で何か意識していることはあるんですか?

プログラムを書くときに大事にしていることは、1年後の自分が見ても分かるかどうかってところですね。
あと実際にアプリとかこういうのが作りたいって言われたときに、それを言われた通りじゃなくて求めているものとマッチしているのか、そもそも作る目的は何なのか、本当に必要なものが何なのかを考えながら作ることを意識して開発しています。

――ご自身の強みはどこにあるとお考えですか?

エンジニアとして働いてみて、本当にそのプログラムがサービスにとっていいものなのかっていう目線で見れる人が意外と少ないように感じました。「作ること」がメインになってしまっている人が多いように思うんですよね。
僕自身、機械オンチなところがあって、でもそれってサービスを使う側の、一般の人の気持ちがまだわかるということなので、それが大事なのかなと思っています。

美容師を経験し、プログラミングに関して何も知らずに入ってきて凄く戸惑った経験が今に生きていて、そこが強みになっているのかなとも思います。

――エンジニアとして大切にしていることは何ですか?

良い意味で、「楽をする」ことが大切かなと考えています。
新しいことを色々と試したりしているのですが、それらを「業務で使えるか」「業務が楽になるか」という目線で見ていますね。

こうしたら何時間作業が削れるのではと考えたり、ユーザーが100人増える機能ではなく、1000人増やせる機能を探したりなど、どうせやるなら楽したいですし、やらなくていいことはできる限りやらない方がいいですよね。効率の良い方法をいつも模索しています。

――今後の展望について教えて下さい。

会社のビジョンでもある、「新たなプラットフォームを作る」ことに引き続き挑戦していきたいと考えています。
プラットフォームを作って人の生活を変えるというのは、なかなかできないことだとは思いますが、何かしらそういうところでインパクトが残せるような仕事がしたいですね。

――これからTechAcademyの受講を考えている方々に向けてメッセージをお願いします。 

プログラミングを覚えると、自分の世界が一気に世界が広がります。周りを見渡すと、毎日使っているアプリであったり、居酒屋のタッチパネル、Suica、などなど今の生活とITって切っても切り離せないところまで来ていますよね。
だからこそ、たとえエンジニアにならなくとも勉強して損は絶対にないと思います。

IT業界はとても楽しいので、少しでもエンジニアが増えるといいと思います、是非頑張ってください!

(インタビュアー:村田美寿穂)